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小説の話あれこれ

タイムラインで舞城王太郎の名前を時々目にするようになったのでめちゃくちゃ嬉しくなってばぁ~っと書きたいことだけ書く。これについてはTwitterで延々と誰も読まないツイートを垂れ流すことも考えたがそれよりもここでまとめて一気に書き切ってひとりで勝手に満足したほうがよいと思った。要するに夏休みで暇なのだ。

 

 

とりあえず知らない人もいるだろうから説明しておくと、舞城王太郎は作家だ。Wikipediaさんには作風についてこんな風にかいてある。

ミステリやSFなどの要素をスリップストリーム的に盛り込んだ物語、異様な超現実と卑近な日常の錯綜するディテール、独特のスピード感とリズムを持った口語文体を特徴とする。

主に出身地の「福井県」を舞台にすることが多く、方言福井弁)や地方性といった根幹から、スリップストリーム的に人物再登場などの文学技法を再解釈した点も含めて、中上健次の「紀州」や阿部和重の「神町」のように「福井」に根付いた物語群を構築している。他に東京都調布市もいくつかの作品の舞台になっている。

また、自作のデザインや挿画を手がけることも多い。

なんのこっちゃって感じかもしれないけれど、とりあえず超現実なミステリやSFをすっごく癖のある一人称文体で捲し立てるようなスピード感とリズムで書き切る作家で、デビュー作がメフィスト賞だったこともあってよく西尾維新なんかと一緒に名前が挙がったりする(気がする)。

オタクとしては巨神兵東京に現るでの言語担当が多分わかりやすいと思う。

文章について言及されることが多くて人(批評家)によっては雑な文体だとか乱暴な文章だとか言っていたような気もするけどそれもなかなか否定できない。

色々と批評めいたことを書ける脳味噌があるならばそうしたかったけれど、好きな作家の批評をしようなんてことは無理な話なので、読んだことのある作品についてちょっとだけ、読んだことのない人にも興味を持ってもらえるようにコメントだけしたい。それがめちゃくちゃ難しいことだっていうことはよく理解している。

 

1 煙か土か食い物

デビュー作。第19回メフィスト賞受賞作でミステリ。改行が少なくてページいっぱいに文字が広がっている割にテンポの良い文章で一気に読める。ただ文体が一人称の福井弁なせいでちょっとばかし面食らうかもしれない。主人公がアメリカのERで働いてる外科医でマザファッカーとかファックとかぶつつぶつ言いながら連続主婦殴打事件の謎を追っていくことになる。見立て殺人とかそっち方向でのミステリなのでちょっとだけ注意が必要。続編の暗闇の中で子供は機会がなくて読めていない。

 

2 世界は密室でできている。 THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS.

十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験―そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。 

 いつもの引用。密室殺人がテーマの青春モノ。ほんとに。家族との問題とか大学受験とかそういう多感な要素とぶっ飛んだ密室殺人事件がいい具合になった青春小説。こちらも舞台が福井県西暁町なので文体は福井弁。青春の合間に密室殺人事件じゃ~い!なんかよくわからんけど名探偵だからオッケーい!みたいなテンポの小説なんだけど、タイトルだったり扱う密室殺人だったり、この作品以降舞城作品で頻出する“名探偵”って言葉だったりを考えるといろんなことが考えられそうだけど結局は新青春エンタメに落ち着く辺りが上手い。中学生だった自分はこれをきっかけに夢中になるわけなんだけどそんなことは全然関係ない自分語りなのであった。

これは薄いしぶっちぎりで読みやすい部類にはいると思うのでおすすめ。

 

3 阿修羅ガール

三島由紀夫賞をとって一躍有名になったやつ。個人的に好き好き大好きの後に書かれたやつかと思ってたけど逆だった。男性の福井弁な文体から一変してこれはJKの一人称。所謂今どきの女子高生っぽさがウケたらしい。受賞時の審査員のコメントとかちょっと面白い。

減るもんじゃあるまいしセックスしても何も変わらないって言ってたけど減ったよ、返せよ私の自尊心~みたいなうろ覚えだけどそんな感じの書き出しがインパクトめちゃくちゃ強くてあっという間に読んだんだけれどこれだけは一度も読み返さなかったので肝心の中身が記憶にない。

ミステリみたいな始まり方をする割にはパニック物になってファンタジーになったような気がする。今度もっかい読みます。

 

4 九十九十九

清涼院流水のJDCシリーズっていう作品があって、それのトリビュート企画か何かで書かれた作品。西尾維新とかもこの企画で書いてて他の作家はJDCっていう日本探偵倶楽部が存在している世界でのミステリを書いている中で、舞城だけはその中の登場人物名探偵九十九十九をテーマに書いていてちょっと面白かった。何を気に入ったのかわからないが、この作品を皮切りに何作かに九十九十九は登場するので、これを読んどくと少しだけ心の準備ができる。話としては全6編のよくわからない見立て殺人と九十九十九のよくわからないお話。すべての話で時間軸が繋がっているようなそうではないような、直接繋がってはいないけれど全知全能の九十九十九には認識できるとかそんな感じだったとは思う。中学生だったからよく理解できなくて、高校生になって読み返したけど理解できなくて、大学生になっても理解できなかったから今度読み直したい。結構分厚くて読みごたえはあったので好き。文体は普通。でも話のほうが理解しにくくて結局他の作品よりは読みにくい。九十九十九をαにしてΩだったり三位一体とか言い始めるのが中二病真っ只中の自分にはストライクだった。あと紙袋セックス(セックスはしない)。

 

5 山ん中の獅見朋成雄

しゅりんこき……しゅり
しゅわりぽちん……しゅ

背中に鬣の生えてるめっちゃ足の速い中学生獅見朋成雄(しみともなるお)が主人公のよくわからない話。成雄くんが主人公をやる話はいくつかあってそのうちで最初に発表されたやつだったと思う。人間とはいかにあるべきかって感じの青春ものがはじまりそうなところで終わっちゃう。俺たちの戦いはこれからだってこんな感じかなって昔思った。人と動物、欲望と芸術と倫理だったりその辺のあれこれがテーマで結構深い。エンタメ要素は少なくて純文学に限りなく近い気がする。アイデンティティの喪失とか少年が青年になる話だったり、思い返してたらめちゃくちゃ読みたくなってきた。擬音も面白い。墨をする時の擬音ってどんな風だと思います?

 

6 好き好き大好き超愛してる。

副題は『♥♥♥UI♥U! (Love Love Love You I Love You!)』である。 

 同時に収録されてる短編ドリルホール・イン・マイ・ブレインとごちゃごちゃになってるんだけど、これは合間に挟まるSF小説のせいだと思う。

主人公が死んでしまった恋人のことを回想する合間に全然関係なさそうなSF小説が挟まってるよくわからない構成のお話。恋愛小説って当時は真面目に読む気がなくて、脳味噌のほうが記憶に残ってる。…ちょっと覚えてる部分を思い返してWikipediaとか読んでたら全然違う話に思えてきてなんだかめちゃくちゃ読みたくなってきた。もっかい読み返して出直してきます。

 

7 SPEEDBOY!

絶対に許さない講談社BOXの最初のほうに出たやつ。こちらも獅見朋成雄くんが主人公で、山の中とは違って走るほうにテーマを置いたお話。孤独だから速くいられるって言いながらめちゃくちゃ速く走って走って走るお話。本当に走ってばかり。講談社ノベルスの二段組みだった他の作品と比べると、これはなんだか薄くてBOXなせいで一段で値段も高くてめっちゃ損したような気がしていたのを覚えている。いまでも講談社BOXは許していない。お話としてはシンプルなので読みやすい。成雄くんシリーズは他が複雑なのでこれから読むといいかもしれない。

 

8 ディスコ探偵水曜日

個人的に舞城作品の集大成、お祭りのような雰囲気の作品。主人公は迷子専門のアメリカ人探偵のディスコ・ウェンズデイ。迷子を捜してたらいつの間にか殺人事件に巻き込まれて気が付いたら世界を救うか滅ぼすかみたいなお話になる。文章にするとバカみたいだけれど読んでいると素直にすごいと思ってしまったし、個人的にぶっちぎりで好きな一冊(二冊(三冊))。

世界は密室~の登場人物や九十九十九の登場人物がでてくる。それに加えて見立てだったり密室だったりでめちゃくちゃ。舞城作品では一番分厚くて一番読み返してる作品。こればっかりは何かを説明しても無意味だからとにかく読むしかないと思う。Wikipedia様にもあらすじは書かれていないんだ。ちょっと長いけれど是非読んでほしい。

 

9 獣の樹

馬から生まれた成雄くんが蛇に乗る少女に恋をして殺人事件や騒動に巻き込まれるお話。恋をするお話なんだけれどその恋はなんだかラノベちっくであんまり要素としては強くない。青春って感じでもなくてミステリって感じでもない。デビュー間もないころの荒々しさをもう一度意識的にやってみたような、そんな印象を受ける作品。成雄くんがどこか浮世離れしてるせいでちょっとふわふわしているけど、スピード感とテンポは良くて読みやすいことは読みやすい。

 

10 JORGE JOESTAR

ジョジョディスコ探偵水曜日をやってみましたって感じの作品。ジョジョラー(笑)からの評判はよくない。そりゃあそうだろうなって僕も思う。カーズがスタンドを使えたら、とか二次創作でしかできないことをめちゃくちゃにやっているところが受け入れられるか否かで読む読まないの指標にするのがいいんじゃないかな。ジョジョも舞城も好きだから結構楽しめたけれど、そのへんは如何せんどうしようもない話でもある。

 

 

とりあえずwikiに載っている長編で読んだことがあるのはこれくらい。ビッチマグネットも読んだ気がするけど確信がないので除外。NECKと魔界探偵冥王星O デッドドールのダブルD淵の王は読んでなかったので読みたい、特に淵の王。最近小説もあまり読めていなかったのでとりあえず阿修羅ガールとか読み返しつつ読んでなかった最近の作品も読んで、以前のように本を読むようにしたい。

暇だからコメント~って適当につらつら書いてしまったけれど、あんまり人の興味をひくような書き方はできなかったのでそのあたりが心残りだが暇は潰せたのでオッケー。一部の作品には雑なことしかかけてないような気もするけれど、眠いからもう許してほしい。勝手に始めたことで許す許さないも意味が分からないけれど。

全体的に意味の分からない話って書いたことが多い。でもこれは仕方がない話で、本当に意味が分からないというか説明しにくい話が多い。

短編集も、みんな元気とか熊の場所とかキミトピアとか面白いのあるから読んでほしい。

とりあえず明日図書館行こうっと